今日は、本業の方、関係で本を読んだので紹介&感想
心療内科・精神科の薬、やめ方・使い方 石川 憲彦 医師 著
精神科の領域は、患者さんとの信頼関係をどれだけ構築できるかが大切だと思う。
投薬の際にも、通り一遍の説明だけして、患者の気持ちを傾聴できていないと感じることがある。
この本は、医師がどうやって診察、診断を行い、治療を進めていくのかをリスクを前提に話ているように感じた。
精神科の薬は漫然と出され続けることが多いし、本人もなんで飲んでいるのかわからない、やめ時がわからない、とりあえず飲んでおこうという人が多いように思う。
そういった人や精神科に関係する医療者は、一度読んで薬をやめる必要性を確認するためにはいい本だと思った。本自体が薄いのでサクサク読める。
本の内容は、
Ⅰ〜Ⅴ部構成になっており、各セクション、一貫して口語調で説明している。
Ⅰ:精神科で使われる薬
Ⅱ:薬の副作用とはなにか
Ⅲ:子供の成長と薬の関係
Ⅳ:薬の使い方ーその原則と治療仮説
Ⅴ:薬をやめるとき
まず、精神科で使用されている薬剤についての解説、患者にとっては、難易度が高そうだが、添付文書(薬の取扱説明書)についての話から始まる。そして診断方法についての話。
薬というのは、全てが副作用であるといい(すごい偏ってる意見なきがする🥺)、毒にもなることを薬の代謝(分解・排泄)に合わせて説明している。
副作用の起こる可能性を副作用の項目では、色々と例を出しながら説明している。
脳に働く薬は、脂肪に溶けるため蓄積性があり、長期に服用することでの副作用が起こる可能性があるなど、環境や生き物への影響についても簡単だが触れている。
子供は、8歳までは、非常に目まぐるしい変化をするのでその間は、できるだけ薬使わず環境や、大人が対応してあげることが大切と説明している。
環境が変えれない場合は、薬に一時的に頼るのも仕方がない。
大人のうつと子供のうつでは、症状が違うが、(子供ではイライラする感じ・焦燥感)感覚レベルの差なので、薬は使用しないで対応すること。
ADDでは、覚醒剤が使用されるが(保険的に認められている)、10〜12歳以前は依存が起こりにくいので、安易に使用される場合が見られる。
診察に時間をかけて治療仮説をたて、必要性を検討した上で処方をしよう
薬を使うときに守る11の原則
1:昔から使用された薬をごく少量で
2:同系列の薬を2種類同時に使用しない
3:薬剤で対処する症状を厳選せよ
4:1剤無効なら異系統の1剤に変更せよ
5:変更は1時に1つに限定せよ
6:患者の要求に応えるための処方は危険だ
7:3種類以上の薬剤の併用は避けよ
8:不眠への最善治療は「睡眠薬」とは限らない
9:服薬は、患者の生活リズムに合わせよ
10:無効という判断は、慎重に行え
11;服薬内容を、常に明確に把握せよ
薬を処方するときは、この原則を意識しながら薬を処方するように心がけよう。
そして、薬をやめるときは、一人でやめず、医師もしくは周りの人に協力を得ながら行っていく。リバウンド・離脱症状があるので減量は、薬局で粉砕して10−15%くらいずつ減らしていく2〜4週ごとに評価していく。
と話が進んでいく。本書では、もっと例を出して詳しくわかりやすく説明しているので、精神科の患者・家族・医療者は読んでみてほしい。
★感想
薬を常に扱っている身としては、薬の副作用は常に意識していくものだが、やはりやめ方は難しいと感じる。若い人は、多くの薬を飲んでいることは少ないが、高齢者は大量に多くの薬を飲んでいることが多い。(多剤併用は社会問題だと思う)
高齢者の場合は、本当に必要かどうかの検討もされずに処方されていることが少なくない、医師はとりあえず安定しているから、患者は、医者が処方してくれたから、と薬を飲まされ続けている。
同じく精神科でも薬をどんどん盛っていく処方を見かける。これが効かないから追加でこれもあれもと・・・
精神科の薬は、一度、始まってしまうとなかなかやめることが難しい。やめどきの問題と中止による離脱症状やセロトニン症候群などは本当に厄介な問題だと思う。やはり少しずつゆっくりとやめるしかないと思う。
本書では、薬局で粉砕してもらえと書いてあったが、医師に許可なしに粉砕することはできないので(保険上)薬局で粉砕を依頼するなら必ず医師に話をした上で減量にチャレンジしてほしい。大体の医師は、減量したいといえば、応じてくれると思う。
むしろ、言わないで減量していると余計に薬を盛られたりする可能性があるのでおすすめしない。
薬を使う時に守る11の原則は、医師だけではなく患者や患者家族にも意識してほしい。薬に対する意識をもう少し持ってほしいなと思うことが多々ある。医者が出してる薬を飲んでればいいんだろ?という方も・・・
小児精神科の医師の話なので、やはり小児の成長と薬の関係についての話の比重が多かった。子供にメチルフェニデート( Rコンサータ)やアトモセセチン(Rストラテラ)が処方されていると本当にこの子供に必要なのだろうか?と感じることがある。
医師も子供をよくしようと思って、薬を処方しているのだろうが、薬を飲むことのリスクを忘れてはいけない思う。年齢で基準を作るのは、わかりやすくていいなと感じた。
実際に8歳以下の子供に薬を使うなというのは難しいと思う。子供は、すぐに熱を出すし、風邪もひく。川崎病、喘息、RSV、アトピー、おたふくなど色々な病気にかかる。これを薬を使うな自然に治癒力で治せなんていうのは、無理な話だと思う。(本著者は、精神科の薬に限っていっているのかも知れないが)川崎病で自然に治るからIVIG、アスピリン使いませんでしたーなんていったら患者家族から訴えられそうだが。。。
ただ、薬を漫然と使うわず、治療のゴールを決めて5W1Hを使用し患者・家族に説明していくことは大切なことだと感じた。
とまぁこんな感じなことを本書を読んで思った。
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