こんにちは!
夏も終わりに近づいてきましたが、まだまだ蚊が出る季節です。
蚊を倒すためにも、蚊について知識をつけましょう!
そこで、蚊学の勧め
”きっと誰かに教えたくなる 蚊学入門ー知って遊んで戦って” 一盛 和世 著
で蚊について学びましょう。
◯大まかな蚊の種類
ハマダラカ:マラリアを媒介する。夜間活動性で夜に吸血
ヤブカ:主に昼に吸血する。デング熱・チクングニア熱・ジカウイルス感染症を媒介する
イエカ:夜間活動性で主に夜に吸血する。ウエストナイルウイルス・フィラリア・日本脳炎ウイルスを媒介する。
以前は、日本でもフィラリアやマラリアの感染症に悩まされてきました。衛生環境が整ったおかげで感染症は減りましたが、海外特に熱帯地域にはこのような蚊による感染症がいまだに猛威を奮っています。
★西郷隆盛は、フィラリア感染症に苦しめられたようです。
◯蚊の一生
蚊は、体内の卵を育てるために、雌のみが人や動物から吸血をします。
蚊の一生:
吸血 → 休息 → 3日後 産卵 水溜り
産卵 → 2ー3日後 孵化 → 7−10日間 蛹 → 1日半〜3日後 羽化・成虫
蚊の一生である1ヶ月の間にこの吸血・産卵は3日おきに繰返し行われています。
★蚊は、生涯に一度の交尾で得た精子を大事にとっておき産卵の度に使用する。
(実験的に条件を整えれば、複数回交尾をすることが確認されています。中学生が発見したんですよ、洞察力がすごいですね)
蚊の産卵場所は、水がある場所ならどこでも産卵できます。とても変わった発生源として、食虫植物であるウツボカズラがあります。
ウツボカズラって虫を食べるやつですよね?その中でも蚊は生きていけるんですね。生命力強すぎです。
◯蚊はどんな血が好き?
O型の人は刺されやすい、年配の人って刺されないよね?と話が上がりますが、実際に嗜好性はあるのでしょうか?
結論から言うと、嗜好性はあります!
蚊の種類によっても、ヒトを主に吸う蚊や豚、牛など大型の哺乳類を吸う蚊、はたまた鳥類、両生類(カエルとか)を吸う蚊もいます。
人間を刺す蚊も限定されてきます。ただ、人間だけを刺すわけではないので、駆除・感染症対策が難しいようです。
◯蚊に刺されやすい人・刺されにくい人
蚊はどのようにして、刺す対象を見つけているのでしょうか?
蚊には、触覚と小顎髭にセンサーがついています。そのセンサーで生物を感知して近寄ってきます。
蚊のセンサー
触覚:温度・湿度・乳酸
小顎髭:二酸化炭素
まずは、二酸化炭素濃度の勾配を感知する小顎髭を使って生物を感知して近づいてきます。
その後、触覚を使って温度や湿度、乳酸などを感知し対象を見つけ吸血を行います。
どんな色が好き?
濃い色・暗い色を好む
特に黒色が好きです。白い色より10倍ほど近寄ってくるというデータもあります。
どんな匂いが好き?
アミノ酸・イソ吉草酸(メチルブタン酸)の匂い・皮脂が好き
イソ吉草酸は足から出てくる匂いの成分ですね。
暖かいところと寒いところならどっちが好き?
暖かいところを好む
暖かいところを感知できるので、皮膚の表面温度が高い人は刺されやすいです。逆に、冷え性の人は刺されにくく、妊婦さんはお腹周りが刺されやすいです。
ブラジルで流行したジカウイルス感染症は、この妊婦さんに近寄ってくる性質があったことも原因かもしれませんね。
湿度は高いのと低いのどっちが好き?
皮膚の水分量が多いと刺されやすい。
血液型で差がある?
血液型はO型が刺されやすい
O >B >AB>A の順番で刺されやすいというデータがあります。
ただ、血液型を決定する糖鎖の差を見極めているというよりは、血液型による体質の違いが 誘引の差になるのではないか?と考えられています。
痩せ型と肥満型だとどっちが好み
太り気味だと刺されやすい
これは、体脂肪・体重が重い・面積が大きいからですね。
お酒は飲むとどうなの?
飲酒後は刺されやすい。
呼気のCO2が増えるためです。同様に、炭酸飲料のCO2が増えるので刺されやすくなります。
肌の色って関係あるの?
肌の色が濃い人が刺されやすい
黒色を認識しているから仕方ないですね。
ネグロイド:黒人>モンゴロイド:黄色人>コーカソイド:白人
蚊に刺されやすい場所はどこ?
足>手>顔
匂いが出やすいところから刺されるようですね。
★コラム:
蚊柱は、婚活パーティ・羽音は、ラブソング
”蚊柱:たくさんの蚊が一かたまりになって飛んでいて柱のように見えるもの。”
蚊柱の中で、雌と雄が羽音でハーモニーを奏でられたら無事カップル成立します。
・・・いやいや、題名はなんかいい風ですけど全然よくないですから!
あの羽音と蚊柱に何度不快な目に遭わされたことか。。。
安眠は妨害されるし、蚊柱には何度顔から突っ込んだことか・・・
そういえば、蚊の交尾は適切な体温と足の匂いで誘発されますが、野球している時に頭の上で蚊柱ができるのと関係がありそうですね。
汗の匂いに誘われた蚊たちが婚活パーティ開いてたってことですかね?
蚊から自分を守る、蚊からみんなを守る
ヤブカから自分を守るため、まずは露出部を減らしましょう。
次に、忌避剤を塗布しましょう。これ使い方間違っている人多いですよ。
忌避剤は、衣服にかけてもあまり効果はありません!
肌に塗布することで、蒸散して効果を期待するものです!
ちゃんと肌に塗布しましょう!
お庭があるお家では、薬剤の散布をすることも考慮したいです。
:エトフェンプロックスを50−100倍で散布
★エトフェンプロックス・・・ピレスロイド系殺虫剤(虫のNaチャネルを阻害することで、殺虫効果を示す)人には安全性が高い
水域にはIGR剤を投与するのもいいでしょう。
★IGR・・・昆虫成長制御剤。幼虫が成虫になる前に発育を阻害して殺虫効果を示す。こちらも、哺乳類にはない昆虫特性に作用するので人には害がないとされている。代表的なものは、キチン合成阻害剤。キチンとは、昆虫の表皮を作っている成分のこと。
忌避剤としてDEETやイカリジンを投与散布する。
★DEET・・・アメリカ陸軍が開発した虫除けですね。かなり歴史は深いです。簡単に言うと、虫が人を認識するのを阻害するもの。CO2などを目標にして近づいてきますが、それがDEETを使用すると、感知できなくなると言った仕組みです。安全性は高いですが、濃度、肌質などを考慮して使った方がいいですね。荒れる人もいますから。
★イカリジン・・・ドイツで開発された虫除けになります。DEETに比べて子供から大人まで安心して使用できます。比較的副作用が少なく、匂いもないといった特徴があります。こちらは服の上からも使えるようです。
また、幼虫対策には、IGR剤を投与しますが、環境に配慮してBT剤の検討も必要かもしれませんとしています。
★BT剤とは?
バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis; BT)天然の細菌に虫を殺させる農薬。人体、哺乳類には、無害(効果を表す部位が哺乳類にないため)で、環境蓄積もないため環境を変化させない安全な農薬とされている。
これらのような薬剤をうまく利用することで蚊の対策を立てています。
ただ、最近では
ピレスロイド耐性の蚊が出現
現状、ピレスロイド系の殺虫剤がほとんどなので、今後この耐性をもった蚊が増えてくるとまた感染症が増えていくことが考えれます。
感染症対策は、耐性と開発のいたちごっこと言われますが、同じことが蚊の殺虫剤でも言えるようです。
さらなる研究・開発が望まれます。